有価証券は固定資産と同様に、商品売買とは違った仕訳になります。
固定資産について知ろう(簿記3級)
正確に理解するのが難しく、ミスをしてしまう方も多いのではないでしょうか。
今回は、有価証券の仕訳について説明します!
有価証券とは
「有価証券」とは、株式、公債、社債などを指します。
株式とは、会社が新しく株主になってもらうために発行する証券です。株主とは会社の所有者(オーナー)のことですね。
公債とは、国債、地方債など、国や地方公共団体がお金を集めるための証券で、社債は会社がお金が必要な時に発行する証券となります。
いずれにしても、「有価証券」そのものに価値があり、また持っているだけでも、株式なら配当、公債や社債なら利息といったお金を受け取ることができます。
現金を持っていてもそれが増えることはありませんが、有価証券として運用することで、リスクはありますがもうけを得ることができる、ということです。
有価証券の取得
今回は、「有価証券」を取得した場合と、売却した場合の仕訳を見ていきます。
有価証券の取得原価の計算
まずは、取得時の仕訳ですが、「取得原価」を計算する際、株式であれば一株当たり○○円というように指示が与えられますが、公社債の場合、一口100円当たり○○円というように指示が与えられます。
さらに、固定資産の取得と同じように「不随費用(取得に際してかかる費用)」も取得原価に含めます。
ですから、株式の場合は、一株当たりの金額×株式数+不随費用、で取得原価を求め、公社債の場合は、額面金額×一口当たりの金額÷100円+不随費用、というように求めます。
公社債の割引発行
ちなみに、公社債の場合は、額面金額が100円としても、実際発行する価額は98円というように、額面金額よりも安く発行することが多いです。
これを「割引発行(わりびきはっこう)」といいます。
なぜそうするかというと、公債、社債などは通常長い期間をかけて運用するのですが、額面よりも安くで発行していたとしても、数年間待って満期になると額面金額を受け取ることができます。
つまり、運用する側としては、発行価額と額面金額の差額分は得したことになります。
ですから、発行する側としては、「安くで発行して上げるから、満期までお金を返すのは待っててね」という意味も込めて「割引発行」をすることが多いのです。
ですから、一口100円当たり95円で額面金額50,000円の社債を発行したとしたら、50,000×95÷100で、発行価額は47,500円となります。
仕訳例①(株式の取得)
では、実際の仕訳で見ていきましょう。まずは、株式の取得です。
「一株当たり200の株式を20株、現金で取得し、証券会社に手数料300を現金で支払った」
手数料300を加えるのを忘れないようにしましょう。
取得原価は、200×20+300で、4,300となります
借方 | 貸方 |
有価証券 4,300 | 現金4,300 |
「有価証券」勘定は資産になりますので、取引の八要素では、
簿記の取引について理解しよう!
(借方要素) | (貸方要素) |
資産の増加 | 資産の減少 |
負債の減少 | 負債の増加 |
純資産の減少 | 純資産の増加 |
費用の発生 | 収益の発生 |
借方が資産の増加、貸方は資産の減少となります。
仕訳例②(社債の取得)
次に、社債の取得について見ていきましょう。
「 一口100円当たり95円で額面金額50,000円の社債 を現金で取得し、 証券会社に手数料300を現金で支払った 」
ここでも、手数料300を加えるのを忘れないでください。
取得原価は、 50,000×95÷100+300で、47,800となります。
借方 | 貸方 |
有価証券 47,800 | 現金 47,800 |
有価証券の売却
続いて、「有価証券」の売却について見ていきます。
前回の固定資産の仕訳でも、「帳簿価額」と「売却価額」を比較し、売却価額のほうが高ければ「固定資産売却益」、安ければ「固定資産売却損」を使いました。
今回は「有価証券売却益」という収益勘定と、「有価証券売却損」という費用勘定を使います。
仕訳例③(売却益が発生)
まずは、「帳簿価額」よりも「売却価額」が高い場合の仕訳を見ていきましょう。
「帳簿価額4,300の株式を5,000で売却し、代金は現金で受け取った」
取得したよりも、700円高く売れていますので、有価証券売却益が700発生します。
借方 | 貸方 |
現金 5,000 | 有価証券 4,300 |
有価証券売却益 700 |
取引の八要素では、借方が資産の増加、貸方は、有価証券4,300が資産の減少、有価証券売却益700が収益の発生です。
仕訳例④(売却損が発生)
続いて、 「帳簿価額」よりも「売却価額」が安い場合の仕訳を見ていきましょう。
「帳簿価額47,800の社債を47,000で売却し、代金は現金で受け取った」
取得したよりも、800円安く売っていますので、有価証券売却損が800発生します。
借方 | 貸方 |
現金 47,000 | 有価証券 47,800 |
有価証券売却損 800 |
取引の八要素では、借方は、現金47,800が資産の増加、有価証券売却損800が費用の発生、貸方は資産の減少です。
固定資産の場合と同様に「有価証券売却益」は収益なので貸方、「有価証券売却損」は費用なので借方と覚えておきましょう。
ですので、仕訳問題で、借方、貸方、どちらに記入すればいいかわからなくなったら、まず、高く売れたか安く売れたかを確認し、高く売れたなら収益なので貸方、安く売れたなら費用なので借方と覚えるようにしましょう
まとめ
今回は、有価証券の取得と売却の仕訳について説明しました。
これもミスの多い仕訳となりますので、固定資産と合わせて何度も復習するようにしてくださいね!
簿記の学習を始めるにあたって、まず知っておくべきこと