貸倒引当金について知ろう(簿記3級、決算)

貸倒引当金はあまり聞きなれない言葉なので、学習されていて戸惑うこともあるかもしれません。

ですが、正しく計算することができれば、決して正解することは難しくありません。

今回は、「貸倒れ」と、「貸倒引当金の計算」について解説します。

読んでいただければ、必ず検定試験でも得点できるようになるはずです!

決算について知ろう(簿記3級)

貸倒れとは

「貸倒れ」とは、貸していたお金や支払ってもらうはずの代金などを回収できなくなることを意味します。

以前、商品売買で学習されたと思いますが、会社やお店どうしの取引では「掛け」や「手形」を使って取引を行います。

これは取引の相手方が支払ってくれる、という信用をもとに成り立っています。

売掛金、買掛金について知ろう(簿記3級)

しかし、資金繰りなどの影響や、会社が倒産してしまうなどして代金を支払ってもらうことができなくなることがあります。

この場合、「貸倒損失(かしだおれそんしつ)」という費用勘定を計上することになります。

売掛金や受取手形など、商品の代金を支払ってもらうためのの債権を「売上債権(うりあげさいけん)」と呼びますので覚えておきましょう。

仕訳例①(貸倒れ)

それでは、貸倒れの仕訳を見ていきましょう。

「先日売上げた商品の売掛金100につき、回収不能のため貸倒れ処理した」

借方 貸方
貸倒損失 100 売掛金 100

借方に貸倒損失を計上し、貸方に回収不能となった売掛金を計上します。

取引の八要素では、

簿記の取引について理解しよう!

(借方要素) (貸方要素)
資産の増加 資産の減少
負債の減少 負債の増加
純資産の減少 純資産の増加
費用の発生 収益の発生

借方が費用の発生、貸方は資産の減少です。

貸倒引当金とは

それでは今回の本題である、決算整理仕訳の「貸倒引当金の計上」について説明していきます。

「貸倒引当金」とは、決算日における売上債権の残高に対し、来年一年間でどのくらい貸倒れるか見積もった金額を言います。

この見積りに際し、「貸倒実績率(かしだおれじっせきりつ)」と言って、毎年どのくらいの売上債権が回収できないか計算した割合が与えられるので、それを使います。

例えば、売上債権の残高に対し毎年5%が回収不能になるとしましょう。もし、決算日において売上債権の残高が500であったとしたら、

500 × 5% = 25

ですので、25の貸倒引当金を計上することになります。

この仕訳では、借方に「貸倒引当金繰入(かしだおれひきあてきんくりいれ)」という費用勘定をもってきます。

「貸倒引当金繰入」とは、決算日にしか使わない勘定科目になります。

貸方の「貸倒引当金」とは資産のマイナス勘定であり、売掛金や受取手形などの売上債権から控除する形で貸借対照表では表示されます。

なお、前期の決算で見積もった貸倒引当金の残高がある場合は、当期に見積もった貸倒引当金と前期からの貸倒引当金の差額を貸倒引当金として繰り入れる仕訳をします。

これを「差額補充法(さがくほじゅうほう)」と言います。

仕訳例②(貸倒引当金の繰り入れ)

では決算整理仕訳を見ていきましょう。

「決算に際し、売掛金の残高500に対し貸倒実績率5%で貸倒引当金を差額補充法により見積もった。なお、前期に見積もった貸倒引当金の残高が10ある。」

当期に見積もるべき貸倒引当金の金額は、

500 × 5% = 25

となります。

ただし、前期からの貸倒引当金が10残っていますので、

25 - 10 = 15

当期の決算で繰り入れるべき貸倒引当金は15になります。

借方 貸方
貸倒引当金繰入 15 貸倒引当金 15

仕訳例③(貸倒引当金残高がある場合の貸倒れ)

最後に、貸倒引当金の残高がある場合の貸倒れの仕訳について見ていきたいと思います。

さきほど、貸倒れの仕訳として借方に「貸倒損失」を計上する仕訳を確認しました。

しかし、前期の決算に貸倒引当金を見積もっていた場合、その計上した貸倒引当金を取り崩さなくてはいけません。

ここで、注意しなくてはいけないのは、前期の決算で見積もった貸倒引当金は、前期の決算日に存在している売上債権に対して見積もったものなので、

当期中に販売した商品に対する売上債権が貸倒れたとしても、貸倒引当金を取り崩すことはしないということです。

実際の仕訳で確認しましょう。

「売掛金250が貸倒れた。このうち150は前期に販売した商品に対するものであり、残りは当期中に販売した商品に対するものである。なお、貸倒引当金の残高が200ある。」

前期に販売した商品に対する売掛金の貸倒れについては、貸倒引当金を取り崩します。

当期中に販売した商品に対する売掛金の貸倒れについては、最初の仕訳(仕訳例①)で見た、貸倒引当金の残高がないケースと同様に貸倒損失を計上します。

借方 貸方
貸倒引当金 150 売掛金 250
貸倒損失 100  

まとめ

今回は、貸倒損失と貸倒引当金の繰り入れについて説明しました。

これも他の決算整理仕訳と同様、期中の処理と分けて理解する必要があります。

慣れれば決して難しくはないはずなので、何度も復習して自分のものにしてくださいね!

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