財務諸表論⑧(固定資産の減損に係る会計基準)

(このブログは公認会計士試験の受験を目指されている方たちへ向けて、僕が学習した内容をノート形式で公開することを目的としています。)

減損会計は、試験において非常に重要な範囲です。減損損失の認識の判定→割引前将来キャッシュ・フローの見積り→減損損失の測定の順番で理解をしていってください。また、共用資産とのれんの扱いの違いを正確に覚えておく必要があります。

 

減損処理の意義:

遺産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合に、回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理

→時価評価ではなく、将来に損失を繰り延べないための帳簿価額の臨時的な減額

減損損失の認識の判定:

事業用資産は金融資産と異なり成果が不確定であり、測定が主観的となるため、減損の存在が相当程度に確実(割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る)な場合に限って減損損失を認識する

割引前将来キャッシュ・フローの見積期間:

長期にわたる将来キャッシュ・フローの見積は不確実性が高くなるため、経済的残像使用年数か20年のいずれか短い方とする

減損損失の測定:

帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額と使用価値のいずれか高い方)まで減額し、当該減少額を減損損失として計上

将来キャッシュ・フローの見積金額:

・最頻値法:生起する可能性の最も高い単一の金額(最頻値)を見積もる方法

・期待値法:生起し得る複数の将来キャッシュ・フローをそれぞれの確立で加重平均した金額(期待値)を見積もる方法

→いずれかの方法による

将来キャッシュ・フローが見積値から乖離するリスク:

減損損失を認識するかどうかの判定では、将来キャッシュ・フローが見積値から乖離するリスクを反映させない(異なる結果が導かれることになるから)

使用価値の算定においては、将来キャッシュ・フローが見積値から乖離するリスクについて、将来キャッシュ・フローの見積りと割引率のいずれかに反映させる

使用価値の算定に際して用いられる割引率:

将来キャッシュ・フローが見積値から乖離するリスクを・・・

将来キャッシュ・フローの見積に反映した場合、貨幣の時間価値だけを反映した無リスクの割引率

割引率に反映した場合、貨幣の時間価値と将来キャッシュ・フローが見積値から乖離するリスクの両方を反映したもの

 

共用資産に係る資産のグルーピング:

原則:より大きな単位でグルーピングを行う

容認:共用資産の帳簿価額を各資産又は資産グループに配分する(一般に共用資産の帳簿価額を合理的な基準で各資産又は資産グループに配分することは困難)

より大きな単位でグルーピングを行う方法を採用した場合の減損損失の測定:

共有資産を含まない各資産又は資産グループにおいて算定された減損損失控除前の帳簿価額に共用資産の帳簿価格を加えた金額を、より大きな単位の回収可能価額まで減額する

減損損失の増加額の配分:

共用資産を加えることによって算定される減損損失の増加額は、原則として共用資産に配分する

(例外)共用資産に配分された減損損失が、共用資産の帳簿価額と正味売却価額の差額を超過することが明らかな場合には、当該超過額を合理的な基準により各資産又は資産グループに配分する

 

のれんに係る資産のグルーピング:

原則:より大きな単位でグルーピングを行う

容認:のれんの帳簿価額を各資産グループに配分する(のれんはそれ自体では独立したキャッシュ・フローを生まない)

より大きな単位でグルーピングを行う方法を採用した場合の減損損失の測定:

のれんを含まない各資産又は資産グループにおいて算定された減損損失控除前の帳簿価額にのれんの帳簿価格を加えた金額を、より大きな単位の回収可能価額まで減額する

減損損失の増加額の配分:

のれんを加えることによって算定される減損損失の増加額は、原則としてのれんに配分する(超過収益力はもはや失われている)

(例外)のれんに配分された減損損失が、のれんの帳簿価額を超過する場合には、当該超過額を合理的な基準により各資産又は資産グループに配分する

 

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