現金過不足の整理とは(簿記3級、決算)

簿記3級決算整理仕訳のうち、「現金過不足の整理」はおそらく最初に学ばれると思います。

期中の処理によって、するべき決算整理仕訳が異なってくるので、戸惑われる方は少なくないかもしれません。

今回は、「現金過不足の整理」について説明します。

決算について知ろう(簿記3級)

現金過不足の整理とは

「現金過不足」とは、その名の通り、現金が多い、少ない、ことを意味します。

日々現金のやり取りをしていると、帳簿と実際の金額が合わないことがあります。

私もよく、財布の中のお金が思ってたより少なかったなんてことがあるのですが、帳簿上、「現金過不足」があった場合、現金の残高を訂正するための仕訳をする必要があります。

その際に「現金過不足」勘定を使うのですが、注意しないといけないのは、「期中(きちゅう)」と「期末(きまつ)」で処理が異なる、ということです。

「期中」とは、一年間の全ての日を指します。つまり、「決算日以外」ということになります。

それに対して、「期末」とは一年間の終わり、つまり「決算日」ということです。

ですから、決算整理仕訳として「現金過不足」の整理を行うのか、期中に行うのかで仕訳が違う、ということになります。

期中の仕訳

実際の仕訳で見ていきましょう。まずは、「期中」の処理です。

仕訳例①(現金過不足の発生)

「4月3日、金庫を整理していると帳簿より現金50が不足していることが判明した。当店における決算日は12月31日である。」

4月3日にこの処理を行っているので、決算日以外、つまり「期中」ということになります。

期中に現金の過不足が判明した場合「現金過不足」勘定を使って仕訳をします。

その場合、不足している場合は借方超過している場合は貸方に「現金過不足」勘定を記入します。ここでは、不足している、とありますので、借方ですね。

借方 貸方
現金過不足 50 現金 50

さて、貸方ですが、現金50とあります。

これは、現金は資産ですので、取引の八要素では資産の減少を意味します。

簿記の取引について理解しよう!

(借方要素) (貸方要素)
資産の増加 資産の減少
負債の減少 負債の増加
純資産の減少 純資産の増加
費用の発生 収益の発生

つまり、実際の残高が帳簿の残高より50少なかったわけですから、帳簿の現金残高を50減らして調整する必要があります。

ですから、貸方に現金50を記入するということですね。

仕訳例②(原因の判明)

次に、現金過不足の原因が判明した場合の仕訳を見ていきましょう。

「5月2日、先日判明した現金過不足50の原因が、交際費の支払いの記帳漏れであることが判明した」

現金が50足りなかった原因が交際費を記帳していなかったことだと判明したので、新たに交際費50を計上する必要があります。

借方 貸方
交際費 50 現金過不足 50

交際費は費用ですので、取引の八要素では借方は費用の発生となります。

貸方は、4月3日の仕訳で借方に計上した現金過不足50を相殺するために、逆側の貸方に現金過不足50を計上しています。

ちなみに、「現金過不足」勘定は、資産でも負債でもなく、一時的に判明した現金残高のズレを記録しておくためのものですので、もし原因が分かったなら、相殺してなかったことにしてしまいます。

以上が、「期中」の現金過不足の処理となります。

期末の処理

続いて、「期末」の処理について見ていきます。

先ほどのように、現金残高のズレの原因が分かったなら良いのですが、決算日になっても原因が判明しない場合もあります。

そのような場合、「現金過不足」勘定のままにしておくことができませんので、不足していた場合は「雑損(ざっそん)」という費用勘定超過していた場合は「雑益(ざつえき)」という収益勘定に振り替える決算整理仕訳をしなくてはなりません。

仕訳例③(雑損に振り替え)

では、実際の仕訳を見ていきましょう。

「決算に際し、期中に発生した現金不足額100について、雑損に振り替えた

借方 貸方
雑損 100 現金過不足 100

期中に発生した現金不足額100とありますので、実際の金額が帳簿よりも100足りなかったことを意味しています。

つまり、「現金不足額」勘定は借方にあったはずです。

ですから、それを逆の貸方に持ってくることで相殺し、代わりに借方に雑損100を計上する、ということです。

仕訳例④(雑益に振り替え)

最後に、期中に「現金過不足」勘定を計上していなかった場合についての仕訳を見ていきましょう。

少しだけ複雑になりますが、頑張ってください。

「決算に際し、現金超過額120があることが判明し、原因を調査したところ、利息の受取額100の記帳漏れが判明したが、残額については不明だったため適切な勘定に振替えた。」

まず、現金超過額120、とありますが、期中に「現金過不足」を計上していませんので、この場合は直接「現金」を120増加させる処理をします。

続いて、 利息の受取額100の記帳漏れ、とありますので、新たに受取利息120を計上する必要がありますが、残りの20については原因不明なので、雑益として処理することになります。

借方 貸方
現金 120 受取利息 100
  雑益 20

取引の八要素では、借方が資産の増加、貸方は受取利息100、雑益20共に収益の発生です。

まとめ

今回は、決算整理仕訳の「現金過不足の整理」について説明させていただきました。

期中にどのような仕訳をしているか、パターンに分けてしっかり押さえるようにしてくださいね!

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