売上原価の計算は、決算整理の中でも特にややこしく、戸惑われる方も多いかもしれません。
今回は、売上原価の計算について解説します!
読んでいただければ、精算表など決算整理の問題を解くうえでの売上原価に対する理解が深まるはずです。
決算について知ろう(簿記3級)
目次
売上原価とは
「売上原価(うりあげげんか)」とは、売上に対する原価を意味します。
ここで重要なのは、一年間で仕入れた商品のうち、販売したものについての金額を売上原価として計算する、ということです。
つまり、一個10円の商品を一年間で二十個仕入れたとすると合計金額は200円となりますが、もしそのうち十五個販売したとすると、売上原価は150円になります。
そして、残った50円の商品を「繰越商品(くりこししょうひん)」という勘定科目に振替えます。
「繰越商品」の繰越とは、次期(次の一年間)に繰越すということを意味します。
今年中に販売できなかったものは来年売る、ということですね。
このように、「仕入」「売上」「繰越商品」という三つの勘定科目を使って商品売買について記帳するやり方を「三分法(さんぶんぽう)」と呼びます。
売上原価の計算について(決算整理仕訳)
さて、一年間に仕入れた商品のうち、販売したものは売上原価に、売れ残った在庫は繰越商品に振替える、ということを説明しましたが、そのための「決算整理仕訳」について見ていきたいと思います。
まず、一年分の仕入れた商品について、全額「仕入」として計上しているわけですから、売れ残った分について「繰越商品」に振替える必要があります。
次に考えないといけないのは、去年の決算において売れ残っていた商品についてです。
これについては、去年の決算で仕入から繰越商品に振替えているはずなので、今度は繰越商品から仕入に戻す必要があります。
なぜなら、去年の売れ残りは今年中に販売してしまっているはずだからです。
これを仕訳としてまとめると、
借方 | 貸方 |
仕入 ○○ | 繰越商品 ○○ |
繰越商品 △△ | 仕入 △△ |
このようになります。
上段の○○に入るのが「期首商品(去年の売れ残り)」で、下段の△△に入るのが「期末商品(今年の売れ残り)」です。
ちなみに覚え方としては、上段の左から仕入→繰越商品、そして下段の左から繰越商品→仕入、と覚えるために繰越商品を繰商と短く約して「しいれ、くりしょう、くりしょう、しいれ」と言いながら覚えるやりかたがあります。
仕訳例
それでは、実際の仕訳を見ていきましょう。
「決算整理に際し、売上原価の計算をする。当期中の仕入の合計金額は1,200であり、前期に繰越した商品の金額は200、当期末における在庫の金額は150であった。なお、当店では三分法によって記帳している。」
当期中の仕入の合計金額について与えられていますが、これについては決算整理仕訳では使いません。
使用するのは、期首商品200と期末商品150です。
借方 | 貸方 |
仕入 200 | 繰越商品 200 |
繰越商品 150 | 仕入 150 |
まとめ
今回は、決算整理仕訳の「売上原価の計算」について説明しました。
この単元では覚える仕訳は一つだけなので、楽だったかもしれません。
ただ、どの金額をどこに記入するか、混乱しやすいので、しっかり繰り返し復習するようにしてくださいね!
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