財務諸表論⑲(企業結合に関する会計基準)

(このブログは公認会計士試験の受験を目指されている方たちへ向けて、僕が学習した内容をノート形式で公開することを目的としています。)

企業結合に該当する取引の分類:

企業結合に該当する取引・・・

共通支配下の取引

独立企業間の取引 ‐ 共同支配企業の形成、取得

企業結合に該当しない取引・・・

非支配株主との取引

共通支配下の取引に準じる取引(株式移転による持株会社の設立、新設分割による子会社の設立)

企業結合の会計処理:

・結合当時企業に対する株主の観点

持分が継続・・・投資の清算と再投資は行われておらず、これまでの投資は継続している

持分が非継続・・・投資家はいったん投資を清算し、改めて当該資産及び負債に対して投資を行い、それを取得企業に現物で出資したと考えられる

・資産及び負債の評価(投資原価)→投資原価の回収計算(損益計算の観点)

持分が継続・・・企業結合前の帳簿価額(投資原価=従前の投資額)

→当該投資原価を超えて回収できれば、その超過額が企業にとっての利益である

持分が非継続・・・企業結合時点での時価(新たな投資原価=再投資額)

→当該投資原価を超えて回収できれば、その超過額が企業にとっての利益である

パーチェス法の場合の増加資本の処理:

増加資本は払込資本として処理する→取得企業に限って利益剰余金が引き継がれる

パーチェス法の場合の企業結合前の損益の引継ぎ:

取得企業に限って引き継ぐ

取得企業の決定:

「連結財務諸表に関する会計基準」に従う(原則)

「連結財務諸表に関する会計基準」の考え方によっても取得企業が明確でない場合:

①対価の種類が資産の引き渡し又は負債の引き受けの場合

通常、現金若しくは他の資産の引き渡す又は負債を引き受ける企業(結合企業)が取得企業となる

②対価の種類が株式の場合

通常、当該株式を交付する企業(結合企業)が取得企業となる

ただし、以下の要素を総合的に勘案

・総体としての株主が占める相対的な議決権比率の大きさ

・最も大きな議決権比率を有する株主の存在

・取締役等を選解任できる株主の存在

・取締役会等の構成

・株式の交換条件(株式の時価を超えるプレミアムを支払う場合、通常、当該プレミアムを支払った結合当時企業が取得企業となる)

株式の交換による取得の場合における交付した株式の測定日: 企業結合日

・株式以外の対価は企業結合日に測定される

・承継する資産及び負債とその対価である株式の測定日は、銅市であることが整合的

・合意公表日後において条件が見直される可能性もあり、合意公表日では未だ取得原価は確定していない

→取得の対価となる財の時価は、被取得企業の株主が結合後企業に対する実際の議決権比率と同じ比率を保有するのに必要な数の取得企業株式を、取得企業が交付したものとみなして算定する。

被取得企業が取得企業の関連会社であった場合の会計処理:

連結上、支配を獲得した日における時価で取得原価を算定

→支配を獲得するに至った個々の取引ごとの減価の合計額(持分法適用関連会社と企業結合した場合には、持分法による評価額)との差額は、当期の段階取得に係る損益として処理する

取得に要した支出額の会計処理:

取得原価に含めず、発生時の費用として処理

企業結合に係る特別勘定:

企業結合の条件交渉の過程で、被取得企業に関連して発生する可能性のある将来の費用又は損失が取得の対価に反映されている場合には、企業結合に係る特別勘定として負債計上する

仕掛研究開発の取り扱い:

企業結合日における時価に基づいて資産として計上

→取得した研究開発は、たとえ当該資産が将来の収益に結びつく蓋然性が低くても、取引価格はその蓋然性を織り込んで決められていると考えられる

逆取得における個別財務諸表上の会計処理:

消滅会社が取得企業となる吸収合併・・・存続会社の個別財務諸表上、当該取得企業(消滅会社)の資産及び負債を合併直前の適正な帳簿価額により計上する

現物出資会社又は吸収分割会社が取得企業となる現物出資又は吸収分割(現物出資又は吸収分割による子会社化)・・・移転された事業に対する投資は企業結合の前後で継続している→取得企業の個別財務諸表では、移転した事業に係る株主資本相当額に基づいて、被取得企業株式(子会社株式)の取得原価を算定する

完全子会社が取得企業となる株式交換・・・完全親会社の個別財務諸表では、株式交換直前における株主資本の額に基づいて、取得企業株式(完全子会社株式)の取得原価を算定する

株式移転による共同持株会社の設立が取得となる場合・・・完全親会社の個別財務諸表においては、他の被取得企業株式と同様に被取得企業株式も完全子会社株式として扱われるが、完全親会社の連結財務諸表では、企業結合日においていずれかの完全子会社が取得企業となり、当該取得企業(完全子会社)の資産及び負債が企業結合直前の帳簿価額で受け入れられることになる→完全親会社の個別財務諸表上においても、株式移転直前における取得企業(完全子会社)の適正な帳簿価額による株主資本の額に基づいて、取得企業株式(完全子会社株式)の取得原価を算定する

共同支配企業の形成:

共同支配・・・複数の独立した企業が契約等に基づき、ある企業を共同で支配すること

共同支配企業・・・複数の独立した企業により共同で支配される企業

共同支配投資企業・・・共同支配企業を共同で支配する企業

共同支配企業の形成・・・複数の独立した企業が契約等に基づき、共同支配企業を形成する企業結合

共同支配企業の会計処理:

いずれの企業の株主も他の企業を他の企業を支配したとは認められず、持分の結合にあたる→共同支配企業は、共同支配投資企業から移転する資産及び負債を、移転直前に共同支配投資企業において付されていた適正な帳簿価額により計上する

共同支配投資企業の会計処理:

個別財務諸表上・・・共同支配投資企業が受け取った共同支配企業に対する投資の取得原価は、移転した事業に係る株主資本相当額に基づいて算定する

連結財務諸表上・・・共同支配企業に対する投資について持分法を適用する

共通支配下の取引: 結合当時企業の全てが、企業結合の前後で同一の株主により最終的に支配され、かつ、その支配が一時的ではない場合の企業結合

親会社と子会社の合併及び子会社同士の合併は、共通支配下の取引に含まれる

→企業集団内における企業結合である共通支配下の取引は、親会社の立場からは企業集団内における純資産等の移転取引として内部取引と考えられる

個別F/S上の処理:

共通支配下の取引により企業集団内を移転する資産及び負債・・・原則として、移転直前に付されていた適正な帳簿価額により計上する

→親会社と子会社が企業結合する場合において、子会社の資産及び負債の帳簿価額を連結上修正しているときは、親会社が作成する個別財務諸表においては、連結財務諸表上の金額である修正後の帳簿価額(のれんを含む)により計上する

移転された資産及び負債の差額・・・純資産として処理する

移転された資産及び負債 の対価として交付された株式の取得原価・・・移転された資産及び負債の適正な帳簿価額に基づいて算定する

連結F/S上の処理:

内部取引としてすべて消去する

非支配株主との取引:

連結財務諸表上、「連結財務諸表に関する会計基準」における子会社株式の追加取得及び一部売却等の取り扱いに準じて処理する

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