返品と値引きは、簿記3級の商品売買の仕訳において、初めて「逆仕訳」が登場します。
最初は戸惑うかもしれませんが、決してむづかしくはないので、しっかり押さえていきましょう。
商品売買、売掛金、買掛金について学習がまだの方はこちらから読んでみてくださいね。
目次
商品売買における、返品と値引きって?
返品、値引きについて学習する内容はそれほど多くありませんので、安心してください。
ですが、これまでの内容が理解できていることが前提となります。それでは、「返品」と「値引き」について見ていきましょう。
皆さんも、これまで買った商品に問題があったなどで、お店に返品しに行ったことがあると思います。
また、買った商品にキズがあり、値引いてもらった経験もあるのではないでしょうか。
これから学習する「返品」と「値引き」も、同じように考えていただいたら結構です。
「返品」とは、購入した商品が注文したものと違ったなどの理由から、その商品そのものを返すことで代金を返してもらうことを言い、「値引き」とは、購入した商品にキズがあったり、注文した数と違うなどの理由から、当初の値段より安く売ってもらうことを言います。
逆仕訳とは?
これから仕訳について見ていきますが、少し特徴的な仕訳をします。
これまで学習した、仕入れ、売上げの際の仕訳を取り消す、という意味で、これまでと逆の仕訳をすることになります。
これを「逆仕訳」と言いますが、今後もこの言葉を目にする機会がありますので、覚えておくと良いでしょう。
また、これまでと同じように「商品売買」ですので、「売る側」「買う側」両方の立場から考えるのを忘れないようにしましょう。
販売する側の仕訳
仕訳例①
では、売る側の仕訳を確認していきます。まずは、復習から。
「商品100を掛けで売り上げた」
借方 | 貸方 |
売掛金 100 | 売上 100 |
次に、返品の仕訳を見てきます。
「売上げた商品100のうち、50について品違いのため返品を受けた」
ここで、先ほどの仕訳の「逆仕訳」をすることになります。金額は50ですね。
借方 | 貸方 |
売上 50 | 売掛金 50 |
では、取引の八要素で確認しておきましょう。
(借方要素) | (貸方要素) |
資産の増加 | 資産の減少 |
負債の減少 | 負債の増加 |
純資産の減少 | 純資産の増加 |
費用の発生 | 収益の発生 |
貸方は、売掛金が減る(受け取ることができる代金が減る)ので、資産の減少ですね。
次に借方ですが、「あれ?ないぞ??」と思われた方がいらっしゃるでしょうか。
そうです、売上げは収益ですが、収益が借方側にくることはほとんどありません。
ですので、取引の八要素には含まれていないんです。
ですが、今回の「返品」「値引き」のように、まれに収益が借方側にくることがあります。
これを「収益の消滅」と言います。(あまり出てこないので重要ではありません)
仕訳例②
続いて、値引きの仕訳も見ていきましょう。
「売上げた商品100について、汚損があり20値引きをすることとした」
これについても「逆仕訳」をしていきます。金額は20です。
借方 | 貸方 |
売上 20 | 売掛金 20 |
さきほどの「返品」と同じ仕訳ですね。
ですが、繰り返しになりますが、「返品」は商品を返すこと、「値引き」は返すまでもないけど、正規の金額は払えないよ、ということで違いますので、そこは覚えておいてください。
仕入側の仕訳
仕訳例③
では、買う側の仕訳を見ていきます。まずは復習から。
「商品100を掛けで仕入れた」
借方 | 貸方 |
仕入 100 | 買掛金 100 |
次に返品の仕訳を見ていきましょう。
「仕入れた商品100のうち、50について品違いのため返品した」
ここで「逆仕訳」でしたね。金額は50です。
借方 | 貸方 |
買掛金 50 | 仕入 50 |
同様に、取引の八要素で確認しておきます
(借方要素) | (貸方要素) |
資産の増加 | 資産の減少 |
負債の減少 | 負債の増加 |
純資産の減少 | 純資産の増加 |
費用の発生 | 収益の発生 |
借方は、買掛金が減る(支払う金額が減る)ため負債の減少です。
しかし、先ほどと同じように貸方がありませんね?
ここでは、貸方は計上した仕入を取り消しているので、「費用の消滅」となります。(これも特に覚える必要はありません)
仕訳例④
最後に、値引きの仕訳を見ていきましょう。
「仕入れた商品100について、汚損のため20値引きを受けた」
ここでもまた「逆仕訳」をします。金額は20ですね。
借方 | 貸方 |
買掛金 20 | 仕入 20 |
やはり返品と同じ仕訳になります。
まとめ
今回は、「返品」と「値引き」の仕訳について説明しました。。
逆をするだけですので、覚えてしまえば簡単ですね!