今回から、簿記2級の独学サポートとして、商業簿記と工業簿記の内容について投稿していきます。まずは、商業簿記の第一回ということで、簿記2級における財務諸表について説明させていただきます。なお、こちらの投稿では、簿記3級を合格された、もしくは勉強がほぼ完了している方に向けての内容となりますので、ご了承ください。
簿記2級では、株式会社を前提とした記帳を学習します。これまでの簿記3級では、個人商店を前提としていたため、それよりも少し複雑になります。株式会社とは、規模の大きいものから小さいものまで様々ですが、株主が会社に出資をすることで成立する会社のことを言います。つまり、会社が儲かることによって、それに出資している株主も利益を得ることができる仕組みになっています。ですから、個人商店の場合と比べて、より多くの人が会社の経営状況に興味を持っていますし、また少しでも詳しく知りたいと思っています。
簿記2級の財務諸表は3級のものと違って、損益計算書と貸借対照表それぞれ、「区分表示」がなされます。それは、財務諸表を見た人に対してより詳しくその会社の状況を知ってもらうためのものです。例えば、損益計算書では純利益を計算しますが、その利益が何から得られたのか、もしくは、利益を得るために会社はどういったことに力を入れているのか、などを投資をしている株主に伝える必要があります。他にも、たまにニュースになる「粉飾(意図的にウソの会計情報を公表すること)」を防ぐうえでもこういったことが有効になります。
それではまず、損益計算書の区分表示から見ていきましょう。
Ⅰ 売上高
Ⅱ 売上原価
Ⅲ 販売費および一般管理費
Ⅳ 営業外収益
Ⅴ 営業外費用
Ⅵ 特別利益
Ⅶ 特別損失
まずは、「売上高」ですが、これは3級でも学習した通り、商品を販売することによって得られた金額です。そして、「売上原価」も3級で学習済みです。販売した商品を仕入れるのにかかった金額ですね。
次に、「販売費及び一般管理費」ですが、これはその会社の本業をしていくのに必要な費用、と考えてください。商品売買をするために販売員に給料を支払ったり、店舗の家賃を支払ったり、などが該当します。ちなみに販売費及び一般管理費は略して「販管費(はんかんひ)」と呼ぶことが多いです。
そして、「営業外収益」は営業外の活動をすることで得られたもうけで、「営業外費用」は営業外の活動によって発生した損失を言います。ここで言う「営業」とは会社の本業のことを言います。本屋さんであれば本を売ること、パン屋さんであればパンを売ることですね。2級で学習する営業外収益、費用は利息の支払い、受け取りや、有価証券の売却などによって発生するものがあります。
最後に、「特別利益」「特別損失」とは普段の会社営業では起こらない収入や損失を言います。例えば、「固定資産売却益」「固定資産売却損」が特別利益、損失に該当しますが、固定資産は何年もの期間にわたって使用する資産ですから、日常的に売ったり買ったりということは通常ありません。他にも、「火災損失」のように、事故や天災によって発生する損失も「特別損失」に該当します。
損益計算書の実際の表示方法ですが、上から下に向かって計算していく形式となっています。一番大きい金額が売上高であり、そこから売上原価を引くことによって「売上総利益(うりあげそうりえき)」を求め、売上総利益から販売費及び一般管理費を引くことで「営業利益」を求めます。そして、営業利益に営業外収益を足し、営業外費用を引くことで「経常利益」を求めます。経常利益に特別利益を足し、特別損失を引くことで「税引前当期純利益」を求めることができます。最後に、税引前当期純利益から税金の金額(法人税、住民税及び事業税)を引くことで当期純利益を求めることになります。まとめると、以下のようになります。
Ⅰ 売上高 100,000
Ⅱ 売上原価 60,000
売上総利益 40,000
(100,000 - 60,000)
Ⅲ 販売費および一般管理費 15,000
営業利益 25,000
(40,000 - 15,000)
Ⅳ 営業外収益 5,000
Ⅴ 営業外費用 4,000
経常利益 26,000
(25,000 + 5,000 - 4,000)
Ⅵ 特別利益 1,000
Ⅶ 特別損失 1,500
税引前当期純利益 25,500
(26,000 + 1,000 - 1,500)
法人税、住民税及び事業税 10,000
当期純利益 15,500
(25,500 - 10,000)
いかがだったでしょうか。これまで3級で学習した損益計算書とだいぶ雰囲気が違うと思われたかもしれません。今すべて覚えようとせず、学習が進むと共にに少しずつ理解していっていただけたらと思います。少し長くなりましたので、貸借対照表については次回説明していきたいと思います!!